【Blog】 カンボジア人医師のお話

以前、開院当初から勤務している主任看護師チーチーさんと、新米看護師マイさんを紹介しました。今日は、医師であるシナ先生のお話です。

ここジャパンハートこども医療センターには、仏教、イスラム教、キリスト教など、さまざまな宗教を持つカンボジア人スタッフが働いています。シナ先生は、キリスト教徒です。

これまで多種多様な仕事を経験してきたシナ先生。
英語を使った受付の仕事、子どもたちを世話する孤児院や学校での活動、マラリアプログラムへの参加など、職務経験が豊富です。
カンボジアでは栄えている都市部と裏腹に車で30分も走れば農村地帯が続いており貧しい人々が暮らしています。
シナ先生が多くの職業の中から医師の道を志したきっかけは、そんな貧しい人々を救いたいという強い思いからでした。

シナ先生は実の母のほかにクリスチャンの第二の母を持ち、その彼女からの経済的援助を受けて医学校へ進学しました。無事医師になると、一人でも多くの人々に医療を届けるため、旦那さんとふたりで自宅に小さなクリニックを開きました。しかし、もっと経験が必要だとシナ先生は考え始めます。そんなとき目にしたのが、ジャパンハートでした。貧しい人々を無償で治療する、シナ先生がまさに求めていた活動でした。

ジャパンハートには、外科や内科、妊産婦や子どもまで、ありとあらゆる患者が駆け込んできます。さまざまな疾患をみることができるこの現場は、医師として大きな経験値になるとシナ先生は言います。

一方で、日中の仕事に加えて当直もこなさなければならない忙しい毎日には葛藤もあるようです。シナ先生の自宅は首都プノンペン、病院から1時間ほど離れています。病院宿舎で寝泊まりをしているシナ先生は、週1回ほど、仕事が終わると旦那さんの迎えで自宅へ帰り、翌日には病院へ戻って仕事をするという生活を送っています。

「家族と過ごす時間が少なくて、この生活をやめた方がいいかなと考えることもあるの。でも、クリスチャンの母も、旦那も、私のやりたいことを応援してくれているから、続けられているのよ。」

シナ先生は、現在は試用期間中です。ジャパンハートのスタッフになるためには、研修・試用期間を経たのちに本採用となるので、来月の本採用を目指して経験を積み重ねています。

「ここで働きたい気持ちが強いけど、どんな結果になっても私は神様が導いてくださる道を信じて行くわ」と、シナ先生はつねに前を向いています。

ジャパンハートのクレド(信条)の一つに次の言葉があります。
「私たちは母性を大切にし、国、人種、政治、宗教、境遇を問わず、貧困で医療が受けられない人々の為に活動します。」
たとえスタッフが信じる宗教はそれぞれ異なっても、ジャパンハートのクレドにある言葉はスタッフの誰もが大切にしていることです。

シナ先生も貧しい人々を救いたいという熱意と、その想いを支えてくれる家族の気持ちを胸に、今日もジャパンハートの仲間たちとカンボジア医療のために奮闘しています。