【Blog】 夜勤で出会った患者さん(前編)

カンボジア正月の夜勤の日に出会った患者さん、そして、一つひとつの命に精一杯向き合うこと。

2回に分けてお伝えします。

夜勤を担当した正月のことです。
カンボジア人のスタッフから「正月の夜は忙しいから気をつけて」と言われていました。
飲酒運転や喧嘩で負傷した患者さんが多く来るのかなと思っていました。

時計の針が夜の9時を指そうとしたときです。

バタバタバタバタ。

ぐったりしている女の子が抱えられて入ってきました。
女の子の脈拍は触れず、呼吸もしていません。
無我夢中で助産師と胸骨圧迫を開始。まだ新人のカンボジア人のスタッフに人を呼んでくるよう指示しながら、自分の感情を抑えることで精一杯でした。

日本でも心停止状態の患者さんを診たことがなく、看護師になって初めて胸骨圧迫するのが6歳の女の子になるなんて。とにかく恐怖と不安で押しつぶされそうになるのを必死に抑えてできる限りのことをしました。

他のスタッフも到着し、心電図モニターを装着。心臓の状態を確認すると、やはり心肺停止の状態でした。再度、胸骨圧迫を開始しました。

顔面に負った傷もあり、耳からは出血が止まりません。
口から管を入れ、肺に酸素を入れても薬を投与しても状態がよくなりません。
そんな状態が30分以上続きました。

「最善を尽くしました」
医師から説明を受けた家族は泣き崩れていました。

6歳の女の子はその日、帰らぬ人となりました。

あとから家族に聞いた話によると、女の子はひき逃げにあったとのこと。事故から病院に来るまでに30分経っていました。

少し前まで元気に走り回っていたのかな、お正月だし美味しいもの食べていたのかな。
女の子の頭をきれいに洗いながら、色々なことを考えていました。
まだ6歳の女の子の命が失われてしまったという事実を受け入れることは簡単ではなく、私は看護師としてベストを尽くせたのだろうか。やれるだけのことをできたのだろうかと自問自答が続きました。

すべてのことが落ち着いたのは23時半頃でした。
女の子への対応の振り返りや、カルテなどの記録、他の患者さんの対応をしているうちにあっという間に朝を迎えていました。

次回に続きます。