【Blog】 巡回診療のお話(後編)

今日は病院の外で行っている巡回診療のお話(後編)をお届けします。

地方に出向いて行う手術活動で、看護師である私の役割は、手術のために入院された患者さんたちの術後ケアを施すことでした。手術期間中は公立のチューンプレイ病院へ出向きチームで一緒に活動しますが、手術が終わると帰っていきます。私はひとり、異国の知らない病院へ居残り、言葉もわからぬ現場で術後患者さんたちのケアを行いました(居残りケアと言います)。

医者もいない、日本人もいない。周りにケアを相談できる人のいない環境の中で、自分ひとりでいろんなことを考えます。手が足りなければ後輩看護師が助けてくれるし、なにかわからなければ先輩看護師が聞いてくれるし、答えが出なければ医師が来てくれる。これまで自分が「看護」してきたと思っていた経験が、ただ周りの指示や意見に合わせただけの処置になっていたことに気づかされます。日勤も夜勤もひとりで対応し、初めて経験する処置の技術や知識の未熟さも、これくらい大丈夫だろうと高を括ったアセスメントの結果も、すべて自分に降りかかります。

そんなときに原動力になったのは、患者さんたちの笑顔でした。

特に、たくさんの小児患者さんとのふれあいがあり、子どもが大好きな私にとってはとて幸せな環境でした。子どもたちは、痛ければ泣き、嫌だったら騒ぎ、でも嬉しいときにはケタケタと笑ってくれます。彼らが笑ってくれるとき、私は、彼らにとっては何者かも知られていない異国民の私でも、「看護師」というかたちで彼らに求められ、そして受け入れられているのかなという気持ちになりました。そんな彼らのために、私はもっともっとケアについて考えなければいけない、自然とそう思いました。

国際医療とはなんだろうと考えたとき、「国を超えて医療を届ける」そのワードの裏側には、政府からの承認、現地スタッフとの信頼、医療を受ける患者の気持ち、その家族のサポート…実は私たち支援者が施す医療行為そのものなどよりも、非常にたくさんのものが関与していることを知りました。「届かないところに医療を」その想いが、こんなにも多くのものを動かしているのだと思うと、感慨深いものです。たった2週間の巡回診療活動でも、私がこうして介入できたことをとても意義あるものに感じています。