【Blog】 手術中の患者さんの体温のお話

今日は手術中の体温のお話です。

6月も日本から外科の先生が来院し、多くの患者さんの手術を行っていただきました。ジャパンハートの上級指導医である青山先生の手術も行われました。青山先生は、笑顔も話し方もとてもやさしい小児外科医です。

青山先生をはじめとする小児外科チームは、小児がんの手術のほかに、生まれた時からある、おしっこが正常な場所から出ない奇形などの手術を合計10件行いました。

子どもの手術は大人と比べて、とても繊細です。そのため同じ疾患でも、手術時間が長くなります。長時間の手術は子どもにとって、とても大きな負担になります。

「負担」にはいろいろなものがありますが、子どもに手術をする際は、特に低体温に気をつけることが重要です。

子どもは大人よりも外の体温に影響されやすく、小さければ小さいほどその影響を大きく受けるからです。

患者さんはほぼ裸の状態で、手術する場所は血液や洗浄水などで濡れていることが多く、体温がどんどん奪われてしまいます。日本では体を覆う布は防水性に優れたものを使用しますが、ここでは洗って繰り返し使うため普通の布を使います。水にぬれた布が皮膚に直接あたり、そこからも体温が奪われてしまいます。

ではどうやって体温を下げないようにしているのかというと、
私たちは電気毛布を敷き、手足にはフカフカしたタオルを巻いて、体には毛布を掛けます。さらにラップを巻くことでビニールハウスと同じような状態を作って保温します。

さらに、使い終わった点滴ボトルを温めて湯たんぽを作り、タオルを温かくして、首や手足にあてて外から体を温めます。ただし、タオルの暖かさも点滴ボトルの暖かさもはそう長くは続きません。スタッフは手術中にお湯を沸かして、タオルを温めて・・・を何十回と繰り返します。

タオルを変えるときに私たちの手により、患者さんの足元や首元がモゾモゾするので、執刀医の先生は「ちょっとした生き物がいる中での手術やな」と緊張感のある中でも、笑っていました。
今のカンボジアの気温は35度を超える暑さですが、部屋を冷やさないようにと、エアコンをつけたり消したりしているので、スタッフの服は汗まみれです。
夜8時になりました。10時間におよぶ手術が終わり、私の手より少し冷たい子どもの腕を触り「お疲れ様」と心の中でつぶやきました。
これからも手術中の子どもの体温を下げない工夫と努力を続けていきます。

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